約 1,869,033 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7411.html
前ページ次ページゼロのロリカード 「何も読めんな・・・・・・」 ジョゼフはやや落胆したような声で呟いた。 土のルビーをその指に、始祖の祈祷書をその手に。 何度か祈祷書をパラパラとめくるものの、文字が光り浮かび上がる気配は一向に無い。 「俺にとってまだ必要な時ではない、と言うことか・・・・・・」 尤もジョゼフとしては読めないなら読めないで、それも構わなかった。 今覚えている呪文だけでも、充分過ぎる。新たな魔法を覚えなくても特に不都合はない。 「これで四の指輪と四の秘宝の内、五つが我が手にある・・・・・・か」 指輪が二つ、秘宝が三つ。と言っても、集めたからどうだというものでもない。 少しだけ興味が湧いたから、なんとなく収集している程度に過ぎない。 ジョゼフは、人質である少女達に目を向ける。後ろ手に縛られ、身動きが取れない二人の少女。 「・・・・・・全く。片方はおよそ闘争に向く性格ではなく、もう片方は杖を落として持っていないとはな」 自分を含めて虚無同士戦わせ、戦おうと思っていた。 しかし虚無を使えないのではと、最早興味は半ば失せていた。 「正直ギリギリだったからね」 ウォルターは、悪びれる様子もなく言い訳をする。 ルイズを攫ってきた経緯は、既に報告済みであった。 タバサの裏切りから、虚無魔法により強化された剣でヨルムンガントを破壊された事まで。 ――――――しかし、杖を落としたという報告は嘘であった。 ルイズは一度拾った杖を、混戦の中でも絶対に手放さなかった。 杖のないメイジが、どれほど無力で役立たずであるかをわかっているから。 例え片手を犠牲にしようと、両足を犠牲にしようと、杖だけは手放さない。 ルイズにはそれくらいの覚悟があった。 実際には、杖は落としたのではなく――――――ウォルターに奪われただけであった。 「まあよい、まだロマリアが残っているしな。どの道、あのような小娘共に最初から期待はしておらん。 それよりも・・・・・・ヨルムンガントの改良が必要だな。虚無で壊れているようでは、話にならんぞ?」 「わかっている。事が終わって戻り次第、早急に改良を進めよう」 ルイズは考える。 杖を奪ったのは――――――最初は、呪文を唱えさせない為・・・・・・だと思っていた。 自分を捕えているガーゴイルを魔法で破壊されない為に、ウォルターが杖を奪うのは当然のこと。 しかし・・・・・・今も杖を持っているウォルターが、それを報告しないのがいまいち解せない。 ジョゼフは虚無の担い手と戦いたがっている。杖を渡してくれれば、自分はジョゼフと戦える。 そのジョゼフの意思を無視し、ウォルターが杖を渡さない理由・・・・・・導き出される帰結。 つまり・・・・・・アーカードに零号開放をさせる為なのだ。 私という人質がなくなれば、アーカードは零号開放する必要はなくなる。 自慢の不死性で持久戦に持ち込み、ゆっくりと全てを殺していけばいいのだ。 だからこそウォルターは杖を奪い、私とガリア王ジョゼフと戦わせないようにした。 ジョゼフの強さはわからない・・・・・・が、私が死ぬにしてもジョゼフが死ぬにしても。 ウォルターにとって面白くない、望ましくない状況に陥るから杖を渡さないのだろう。 故にルイズは杖のことを言わない。少なくとも、今はまだその時ではない。 まだ・・・・・・付け入る隙があるかも知れない。置かれた状況が絶望的となるまでは行動は起こさない。 ジョゼフと対決するのは――――――最後の手段だ。 とりあえず、ウォルターからは敵意を感じない。 杖を奪われた時も、「悪いようにはしない」と言われた。 あの夜の会話からも、ウォルターはアーカードと心底闘いたいだけなのだと感じ入った。 だから・・・・・・今はまだ、ウォルターの言葉を信用しておこうと思う。 † ウォルターは考える。 ――――――自分は今、ルイズの杖を奪い、持っている。 しかしそれをジョゼフに報告はしないし、勿論渡すこともしない。 もし渡してしまえばジョゼフは虚無同士で戦いたがり、ルイズに杖を返すだろう。 ルイズの気性からしても・・・・・・もう一人の担い手とは違い、十中八九勝負を受けるに違いない。 そうなれば勝つのは間違いなくジョゼフ。それだけジョゼフの虚無は強力だ。 ルイズに勝ち目はない。そして負ければ怪我は免れない、最悪死ぬことも有り得る。 そうなれば己の目的遂行に於いて、非常に困る事態となりかねない。 ルイズに危害が及べば、アーカードの気まぐれなど簡単に吹き飛ぶだろう。 なんとか零号開放させても、アーカードが自分とタイマンしてくれなければ意味がない。 死の河が敵を飲み込むその間に、適当にはぐらかされ、逃げられたらどうしようもない。 ルイズを完全な人質として扱い、闘わなければ殺すと言うこともやれないことはない。 だがそのようにして、強制的にアーカードと対決するのは・・・・・・最後の手段だ。 それにアーカードが、ルイズを助ける為ならば自分の命を懸けることすら辞さない心持ちなのかもわからない。 そして・・・・・・少女ながらもアーカードの主人であるルイズに、少なからず畏敬の念を感じる。 インテグラと似ていて、それでいて別の・・・・・・人間としての強さ、その魅力を感じる。 あの夜の会話で、真剣に話を聞き、答えてくれたルイズに、多少なりと好意を感じている。 (・・・・・・悪いようにはしたくない) とは言え、そんな真意までペラペラと喋る程、自分はお人好しでもない。 情報が少ない中、疑問に思うことが数あろうに。 それでもルイズが杖のことを言わないところを見るに、なかなか聡明な少女だ。 己の置かれた状況を的確に認識し、決して取り乱さず、冷静に判断をしている。 先の闘争でもそうだった。・・・・・・もう一人の怯えてるだけのとは大違い。 (ホント・・・・・・アーカードがムキになるのもわかる気がする) ウォルターは胸中で呟く。 鉄の女として完成されたインテグラとは違い、まだ発展途上。 だがインテグラと同じように、大成するだろうその器。 アーカードでなくとも・・・・・・、その将来に楽しみを覚えるというものだった。 だから・・・・・・今はまだ、結果としてルイズに危害が加わるような真似はしない。 「・・・・・・そういえば、元素の兄弟はいないの?」 ウォルターはふと気付いて訊ねた。 ガリア首都リュティスのヴェルサルテイル宮殿には、いくつもの花壇が存在する。 同時にガリアの騎士団は、それぞれ花壇の名にちなんだ名称を持つのである。 しかし・・・・・・北側には花壇が存在せず、表向きは存在しないという騎士団があった。 タバサも所属していた裏の仕事を一手に担う連中、『北花壇警護騎士団』。 殆どが所属している者同士の顔も名前も知らず、様々な厄介事・面倒事を請け負う実力派の騎士達。 その中でも珍しく、四人組の兄弟で仕事をこなす者達がいた。 「虚無の担い手の所在を、長期間調べさせていたからな。いい加減休みが欲しいそうだ」 ダミアン、ジャック、ドゥドゥー、ジャネットの四兄弟。 ウォルターの強さに比べれば、大多数のメイジはまるで相手になりはしない。 が、彼らは卓越した北花壇騎士団の面々の中でも、さらに随一の実力を持っていた。 四人組としても、個人としても。ハルケギニアでは数少ない、戦力として頼りに出来る連中。 元素の兄弟がいたのなら、色々と役に立つのだが・・・・・・いないのであれば仕方がない。 「ヨルムンガントは?」 「一体だけだが既に手配はしてある。そう時間は掛からずに届けられる筈だ」 ウォルターの質問に、ビダーシャルが答える。 トリステインから戻る途中に予め連絡を入れていた。 零号開放させるのに、今のところ集結しているガリア兵だけでは心許ない。 打てる手は全て打っておいた方がいい、当然ながらヨルムンガントがあって越したことはなかった。 「また破壊されたりせんだろうな」 ヨルムンガントは目下生産中。 一体破壊された今、現在稼動可能なのは今から届けられる一体のみであった。 それまで破壊されるのはあまり面白くない。 「虚無はこっちにあるし、大丈夫だと思うけど――――――」 † (ヨルムンガントが・・・・・・もう一体!?) ルイズの胸中が驚愕に染まる。 ウォルター、ジョゼフ、そしてエルフのビダーシャルは、対アーカードの打ち合わせをし始める。 もはや自分達は眼中に無いのか。お構い無しに話をし続けている。 ルイズは耳を澄まして、会話の内容を聞く。 ――――――なるほど、要するにアーカードに零号開放させることを目的としているわけだ。 ウォルターがそうしたいのは、予想ついていた。 アーカードを倒す為に、拘束制御術式の零号開放は必須事項であるからだ。 が、ガリア王ジョゼフまで――――死の河を――――この世の地獄を見たがっているとは。 (・・・・・・エルフ) ルイズは心の中で呟いた。ハルケギニアの人間にとって、最も恐るべき敵。 テファと違ってハーフエルフではない、純粋なエルフ。 会話を見聞きするに、エルフはあまり乗り気ではない様子であった。 が、それにしても人間と組むエルフなんて・・・・・・。通常考えられる事態ではない。 ルイズはエルフを見つめる。ルイズの体が俄かに震えた。 実際に、戦ったわけでもない。その強力な先住魔法を、目の当たりにしたわけでもない。 それでも・・・・・・わかる。肌が敏感に感じ取る。心が理解する。 仇敵の秘めたる力に、メイジとして、虚無の担い手として、畏怖を覚える。 そんなエルフにヨルムンガント、そしてウォルターの実力は言わずもがな。 さらに虚無の担い手であるジョゼフも・・・・・・恐らく戦力に数えられるだろう。 運ばれる途中で、空から見たアーハンブラ城とその周辺を思い出す。 ガリア艦隊は無いようだったが、布陣されている兵の数は、外にいただけでも相当数。 間違いなく・・・・・・アーカードが零号を解放せざるを得ない環境が作り出されている。 敵方が圧倒的物量を有し、同様に物量をぶつけねば効率の悪い状況。 且つ、私と言う人質がいる所為で悠長に殲滅する暇もない、時間的に差し迫った状況。 (アーカードが・・・・・・死ぬ?) 命を全て吐き出した状態のアーカードは、心臓を貫かれれば死ぬ。 そしてウォルターは、その殺せる状態のアーカードと闘うことを望んでいる。 虚無がなければ、反射の掛かったヨルムンガントを破壊する方法は無い。 もしウォルターとヨルムンガントとの波状攻撃を受ければ・・・・・・。 アーカードはきっと退かない。私を助ける為に。 退却しようとしたとしても、私に危害を加えると脅されたら・・・・・・アーカードは――――――。 (いえ・・・・・・アーカードなら、・・・・・・大丈夫) 信じるしかない。アーカードなら勝つ。 私が信じる私の使い魔なら、アーカードなら。 自分を助けてくれる。こんな奴らに負けるわけがない。 (でも・・・・・・出来るなら・・・・・・) 私を助けに来なくても構わない。 アーカードが死ぬ可能性を考えるなら・・・・・・。 ・・・・・・それに、ガリアとの戦争にもなりかねないのだ。 アーカードが助けに来るのは、様々な要素を鑑みるに好ましくない。 そう、助けに来なくてもいい。 (それならそれで、自力で何とかして見せるから・・・・・・) ルイズはギュッと唇を結び、拳を強く・・・・・・血が滲みそうなほどに握り締めた。 ◇ シルフィードを飛ばして学院へと戻る。 アーカード、タバサ、アニエスはそれぞれ軽やかに中庭へと降り立った。 「タバサッ!!アーカードッ!!」 すると待ち構えてたように走ってきた、燃える様な赤髪の女。 キュルケと、さらにコルベールが走って来た。 「ルイズが攫われたんですってね」 「・・・・・・オスマンから聞いたのか」 学院内で起こった事件。 ヨルムンガントの残骸の後始末も含め、責任者であるオスマンには王宮へ行く前に報告していた。 キュルケはコルベールと共にオスマンに問い質し、そしてこうして待っていたのだった。 「そっちの人は?」 キュルケの言葉にアニエスはフードを取る。 普段日差しがある時は、アニエスはフードを被っていた。 まだ他者の血を飲んでいない、真の意味で吸血鬼となっていないアニエスにとって、日差しは体を蝕むもの。 それ故に日中に出歩く時は、フードを被るのが常であった。 「アニエスくん・・・・・・」 「・・・・・・変に気遣われても煩わしい、普通にしていろ」 顔を見て気付いたコルベールの対応に、アニエスはそう言うとフードを被り直す。 既に復讐の件については決着がついている。今更あーだこーだ言及するつもりもない。 「あ・・・あぁ・・・・・・」 コルベールは申し訳無さそうに頷いた。 「・・・・・・助けに行くんでしょ?」 キュルケの言葉に、誰も答えない。その態度をキュルケは無言の肯定と察する。 「私も行くわ」 「・・・・・・足手纏いはいらん」 はっきりとアーカードは告げた。 「言ってくれるわね。お言葉ですけど、私とタバサのコンビネーションは身を以て知ってる筈よ? それにルイズは友達よ、助けに行かない理由はないわ。それにタバサのお母様だって助けなくちゃいけないでしょ」 キュルケの言葉に、アーカードはタバサへと視線を向ける。 タバサは己の母親のことは何一つ言っていなかった。 自分の中だけで決着をつけるべきことであり、わざわざ言う必要はない・・・・・・ということか。 視線に気付いたタバサは、小さく答える。 「母もアーハンブラ城にいる、だから問題ない」 「そうか。それならばついでに救出できるの」 母がアーハンブラ城へ連れて行かれたこと。 その旨が書かれた手紙が、トリスタニアに行く前にタバサのもとに届けられていた。 ルイズを助けに行くと同時に、母親も助け出せる。 都合が良いのか悪いのか、その安否がわからない以上は何とも言えないが。 アーカードは再度キュルケへと目を向け、理由を指し示す。 「確かにコンビネーションは素晴らしいが・・・・・・キュルケ、お前の実力はタバサにすら遥かに劣る」 「そうね、否定しないわ。でも連携するんだし問題ない、むしろ補って余りあると思うけど?」 キュルケの主張に対し、アーカードはかぶりを振って否定する。 「言い方が悪かったな、連携がどうこうと言うわけでない」 「じゃあ・・・・・・どういうことよ」 「仲間思いは結構なことだがな。聞くがキュルケ、お前はいざという時にタバサを見捨てられるか?」 「・・・・・・そんなこと、できるわけないでしょ」 キュルケは質問の真意が分からないまま、眉を顰めつつ否定した。 「だろうな、それはタバサも同じだ。故にお前の存在が足枷になる」 アーカードは淡々と通告する。 タバサも反駁することなく、静かにそれを聞いていた。 「短期決戦での連携は買うがな、長期戦にならんとも限らない。魔力の切れた足手纏い二人を同時には守れん。 となれば、自分の始末は自分でつけられる吸血鬼のアニエスを除けば、当然連れて行けるのは一人だけだ。 まだアニエスは他者を守る程の余裕はない。そしてタバサよりも経験不足で弱いお前を守るのは、負担が大きくなる。 シルフィードで向かうこと、戦力としてのカウント、そしてタバサ自身の因縁と・・・・・・その為すべきこと」 アーカードは一拍置いて、射抜くようにキュルケを見つめた。 「その、いずれも・・・・・・お前に勝る」 キュルケは反論しようと思うが、口篭る。・・・・・・確かに、タバサと比べれば私は弱い。 戦闘経験は言うに及ばず、同じトライアングルメイジでもその魔法の威力も精度も段違い。 そして・・・・・・時に、友愛が足を引っ張ることになりかねないことも認識した。 キュルケは一度だけ嘆息をつくと、観念したように口を開く。 燃ゆる強き瞳で、アーカードの紅瞳を見据える。 「・・・・・・わかったわ。そのかわり――――――」 「んむ、必ず皆で帰って来る」 アーカードの言葉に、キュルケは安堵の息を漏らす。 変に意固地になられても困るし、はっきり言わないと納得しないだろうと、半ば取り繕った言葉だった。 実際にはルイズやタバサの母の安否は知れないし、誰一人帰って来れない可能性も0ではない。 とは言え・・・・・・その言葉を、決して嘘にはしない気負いはある。 ――――――その時だった。 空気が一変し、凍りつく。 急激に周囲の気温が下がるような錯覚に、誰もが囚われた。 ・ ・ ・ ・ アーカードは――――その人物が歩いてくる方向へと――――振り向く。 そしてその人物と同様に、アーカードは嬉々として殺意を剥き出しにした。 本来いる筈のない・・・・・・その人物が放つそれと、アーカードが放つそれ。 二つが衝突し、混ざり合い、空間を埋め尽くす程の圧迫感となる。 体中に鋭い針を・・・・・・何千本何万本も突き刺される、そんなような感覚に襲われる。 アーカードは、思わぬ宿敵との再会に――――――酷く凶暴な笑みを・・・・・・浮かべていた。 前ページ次ページゼロのロリカード
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/3626.html
BAPE・CAMOビキニ okinawa_bikini_ape_swimwear_w_*_1007.swf bl, gn, pk 原宿 BAPE STORE® パソコン モバイル 女子限定 ファッション トップス 150アメG http //ameblo.jp/pigg-staff/entry-10595866635.html
https://w.atwiki.jp/brave_ship/pages/16.html
第11回~第20回←前 情報求む! 次→第31回~第40回 第21回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/15 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/15 ブレイブ号が1日に2回も出航することがあるんですね~ あーる。 モチベは下げても下げられるな(船長/牧師) さく 4/15北極への帰還 虚無 がああ マメシバ 1日2戦じゃ満足できません!2024-04-15 白米 まぉ 突然北極に誘拐されました。 ネタバレ 第22回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/16 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/16 本日もお集まりいただきありがとうございますッ! 虚無 ぱんくん 平十こうじ マックのタツタが食いたい あーる。 キャラコンはしてもされるな(/) だーす 荘園にいたはずが気が付いたら北極にロングワープしてた ヘム 2024.4.16 稲生アニエス ネタバレ 第23回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/17 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/17 魔王と敵対するんじゃなく仲良く手を組みたいですね れれい シャープアイズ 4/17 海兵/医師 あーる。 主催になってもなられるな(航海士/技師) トスタポンテ 役職:牧師/船長 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! バケゆか ドレハ 船長→なんか! 星屑ゆぅみ おふねのじかん!4/10 冬星ひまり 今日も今日とてがんばるぞ~! zisock 4/17 お突発お船ですわよぉ!!!!! ネタバレ 第24回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/22 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/22 深夜にこっそりとお船が出ますよ🚢 虚無 あーる。 鍵は抜いても抜かれるな(船長/料理人) 猫之宮みー太郎 4/23 たまには暴れたい! トスタポンテ 役職:料理人/航海士 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! ヘム 2024.4.23 稲生アニエス たまには深夜便 2024/4/23 さく 4/23配信と北極への帰還 ネタバレ + ... 第25回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/5 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/5 北極はいつだって僕らを待っているんだ! 虚無 ぱぷぁ。 プレイヤー久々だ zisock 5/5 こどもの日っていつになってもテンション上がるんる 黒光の亀 ウキウキで遊ぶたいドレハン らい 5/5 魔王討伐船ブレイブ号 いがこ オーバーチャージ ぺんたぐらむ 夕方ブレイブ号!!! ネタバレ 第26回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/5 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/5 パーティー組んで!みんなで魔王を倒しに行こう! 虚無 マメシバ 端午の節句!2024-05-05 れれい ただ後ろから撃てばいい 5/5 海兵 稲生アニエス 『信頼』はするけど『信用』はしない 2024/5/5 桜海紅羽 初めてのお船で震える子猫 いがこ 植物学の知識 にっちゃん ネタバレ 第27回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/8 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/8 ニトロロマン砲!発射ッ!! 虚無 05/08 何があっても灯台に行く ぱぷぁ。 エンジョイジョイおふね zisock 5/8 フルーツ饅頭って初めて食べたけどおいしかったあ ヘム 2024.5.8 らい 5/8 魔王討伐船ブレイブ 桜海紅羽 最近この船で飼われはじめた子猫視点 がああ 猫之宮みー太郎 5/8 急遽おふねいくぞ~~! ネタバレ + ... 第28回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/10 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/10 丁寧に確実に!最終的に勝てるプランを! 虚無 05/10 おはようございます いがこ ずっと一緒だ マメシバ 代打だいだでもドレハンしたい! 平十こうじ 深夜船始まります ぱぷぁ。 究極の足早マン!ver.2 5/10 zisock 5/9 こーいしちゃったんだ、君に気付いてなーいでしょおおおおお れれい 続・ニトロポケット 5/10 海兵 さく 5/10今日もメンバー重めでは? ネタバレ 第29回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/11 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/11 れれいさん!今日は全クルーでおねがいします! 虚無 05/11 クマやるぞー!! 黒光の亀 猫之宮みー太郎 5/11 深夜船だ!のりこめ!!! さく 5/11深夜船、ありがとう 平十こうじ 魔王と勇者は絶対に手を組むな 桜海紅羽 傀儡怖いでしょう れれい 霧の加護 5/11 船長 ネタバレ 第30回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/14 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/14 この世は弱肉強食!狩るか、狩られるかだ! 虚無 05/14 一周回ってニトロにこだわらない ぱぷぁ。 papua`s kitchen 5/14 料理人➡航海士 zisock 5/13 解毒たくさん解毒たくさん毒たくさん トスタポンテ 役職:牧師/船長 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! さく 5/14この時間は乗船できてしまうのです れれい 悪食 5/14 船長 ぱんくん ネタバレ 第11回~第20回←前 情報求む! 次→第31回~第40回
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/2541.html
Fast Card WIZ-DM 3F/0C 目標/持続 [[メインフェイズ]]終了時まで、目標の≪[[キャラクター]]1人≫に[[シールド]]を与える。 メインフェイズ終了時まで、目標に+(2)する。 No.2104 Rarity UC Illustrator 篤見唯子 Expansion 教皇の祭壇 カード考察 他の羽根シリーズ同様にシールドを与える他、精神攻撃力が上昇する。 シンプルで使いやすいが、他の同シリーズに比べると若干インパクトに欠ける感も。 イニシアチブ持ちのアニエスに使えば無難に強い。 先撃ちでジリアンに撃てば、相手のダメージ飛ばしを気にせず(6)を飛ばせたりもする。 ○類似カード 純白の羽根 真紅の羽根 爽緑の羽ばたき 黄金の羽根飾り 漆黒の翼
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6663.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 雲が後ろに走っていく。木々のざわめきが一際大きい。 「相棒、相棒ぉ~!めずらしく勇ましく積極的じゃねぇの?」 左手に握ったデルフがカラカラと笑うように言う。 「戦争は……嫌だから!」 チョコボから落ちないように、手綱を握る右手に、より一層力がこもった。 「ま、それにゃ同意だな。決闘ならともかく、戦争にゃ美学が少なすぎらぁ」 「……それは、なんか違うと思うけど?」 美学とか、そういう問題じゃないと思う。 なんか、うまく言えないけど……嫌なんだ。誰かが死ぬのを、黙って見てるなんて。 「ま、いいじゃねぇの!相棒がやる気なら全力サポートすっぜ?で、どうする?」 「……どうしよう」 大砲の音とともにトリステインの飛空挺が沈んでいく。 空は爆音と煙であふれていた。どうすれば、これを止められるんだろう…… 「いや早ぇな!?」 チョコボの背に捕まりながら、ザワザワする心をそのままに、考えていた。 どうすれば、守れるのかを。 ゼロの黒魔道士 ~第三十九幕~ 闘う者達 「――ビビ君、一番大きな船が見えるか?」 並走するギーシュが真っ直ぐ前を見たまま話しかける。 「……え?あぁ、アレのこと?」 一番大きな船は、進行方向真っ直ぐの上空で、悠然と居坐っていた。 近寄るトリステインの船を、小蝿をおっぱらうような簡単に大砲で潰している。 いかにも、ボスっていうたたずまいだった。 「いいか、ビビ君、戦の基本は頭と手を潰すこと、だよ」 「……頭と、手?」 ギーシュは、まっすぐ、前を見据えている。 「――ビビ君、頭は、君に任せていいか?」 真剣な、目。覚悟を決めたって感じの目をしていた。 「え、ちょ、ちょっと待ってよ?それじゃ、ギーシュは?」 頭『は』っていうことは、自ずとギーシュはボクと別行動で…… 「何隻か、着陸態勢に入っている」 ギーシュが指さす先。 そっちには、『頭』よりも大分小さい飛空挺が2、3隻、岩場の隙間をぬってゆっくりと降下しているところだった。 「ラ・ロシェールやタルブを占領する腹づもりだろう。――僕は、『手』を潰す」 震える唇で、無理矢理笑顔を作るのが分かる。自分の言ったことに少しだけ怯えているんだろうか。 ……思わず、『大丈夫?』って聞いちゃいそうだった。 でも、ボクは知っている。ギーシュは、強い。 最近、特に強くなってきているっていうことは、いつもの特訓で知っている。 それに、何て言ったらいいんだろう。心が、強い。 ここぞっていうときに、何とかしてしまえる、そんな安心感がある。 そういった意味では、ジタンとどこか似ている感じもする。 ……だから、ボクが言ったのは、『大丈夫?』じゃなくて…… 「……うん、分かった!無事でね!」 「あたりまえさ!」 「おっしゃいっちょサクッとズバッと俺様大活躍ぅっ!」 木々の間を抜けて、二手に分かれた。 『頭』と『手』、同時に打つために。 やるべきことは、決まった。 それぞれなすべきことが、決まった。 なら、それをやるしかない。 手綱を握る右手をもう1度ギュッと強くにぎりしめた。 ・ ・ ・ 「……ま、真下から見るとさらに大きいね……」 見渡す地面に全部影を作って、その飛空挺は空にあった。 首が痛くなりそうなぐらい、高いところにあって、ちょっとした島ぐらい、大きく見える。 「狙いは寄ってきた敵の排除ってとこか。近づくだけで殺られんぞ」 デルフがカチャカチャと警告する。 「……『メテオ』で落とせるかな……」 『頭』を潰すって考えたときに、真っ先に考えたけど…… ちょっと距離がある。うまい具合に狙いをつけないと、飛空挺に落ちそうにない。 でも、周りは平地。飛べないチョコボであの高さまで行くのは難しそうだ。 かといって、『サンダガ』や『コメット』でも似たようなものだ。 距離が遠すぎると、どうしようもない。 「どっちにしろ、今落としたら相棒ヤバくね?」 デルフの言うとおり、今落としたらボクの真上に残骸が落ちてくることになる。 ……ちょっと、厳しそうな状況だった。 「……うーん……」 ボコに乗ったまま、周囲をグルっと偵察する。 早くなんとかしないとって焦る気持ちがザワつくけど、無茶はできない。 今、ここ、この場所にいるのはボクぐらい。だから、ボクがなんとかしなくっちゃ…… 「貴様、ここで何をしている!?」 「……え!?」 おっきな飛空挺と影が重なって気付かなかったんだ。 「何だ?民間人のガキか?」 小さめのドラゴンに乗った兵士。状況からどう考えても、アルビオンの…… 「え、あ、あの……」 「おい、どうした?――なんだ、ガキじゃないか」 返事に困っていたら、さらにもう一体、ドラゴンに乗った兵士が寄ってくる。 ……よく見れば、『頭』を守るように、何体ものドラゴンがグルグルと偵察をしている。 「いえ、しかし、怪しい動きを!」 「ほう?どうする、上からは、疑わしきは――」 「は!罰せとの指示です!」 どうやら、怪しい動きをしていただけで捕まえられてしまうらしい。 ……どうしよう、って思った、その先だった。 突拍子もない、っていうより、トンデモない考えが浮かんだ。浮かんでしまったんだ。 「なら手早くしろ。見張りも暇じゃないんだ」 「ハッ!」 「相棒、どうする?」 「……あのさ、デルフ、こういうのって、できると思う?」 ボソボソっとデルフに相談する。流石に、あり得ない作戦かなって思ったからだ。 「んぁ?なになに――あー?いやさ、できなくはねぇと思うけどよ?相棒、最近はっちゃけてねぇ?」 「……そうかなぁ?」 デルフにまでそう言われるってことは、よっぽどなんだなと思う。 ……でも、反対はされてない。 やるべきことのために、他にいい方法も無さそうだ。やるしかない。 「そこっ!何をゴチャゴチャと独り言を!」 「青き海に意識薄れ、沈みゆく闇 深き静寂に意識閉ざす… スリプル!」 「いいか、俺だって子供に手をかけるような真ねは――した――ないねん~……」 兵士の人だけに眠ってもらう。これで、もう、後には引けない。 「ボコ、行くよっ!」 「クェッ」 ボコの首をポンッと叩いて、速度を上げる。 そして、手綱をギュッと引っ張って、ボコが思いっきり…… 「ん?どうした、ダット?小僧は始末――なっ!?」 「時を知る精霊よ、因果司る神の手から 我を隠したまえ… ストップ!」 眠った兵士の乗っているドラゴンを足場に、さらに高く、ボコは跳びあがる。 ドラゴンの、目線の、さらに上まで。 ……竜騎士のジャンプって、こんな気分なのかなぁ? チョコボは、飛べない鳥。 でも、チョコボは、跳べる鳥。それも、ものすごく高くまで。 ということは、足場さえ用意できれば、どこまでも跳べる……うーん、トンデモないなぁ…… 「!?」 『ストップ』で空中に張りついたように止まったドラゴンに足場を移す。 まだ、飛空挺ははるか上。足場は全然足りない。 ……今は、まだ。 「様子がおかしいぞっ!?」 「えぇい、火龍隊っ!集結っ!」 「い、いっぱいきたぁ~!?」 予想どおり、とはいえ、こんなにワラワラ寄ってこられるると流石にきつい。 「ケケケ、上行く足場がいっぱいでてきて良かったじゃねぇのっ!」 「や、やっぱりこの作戦は失敗だったかなぁ……」 「相棒、もう遅ぇぜっ!始まっちまったらなぁ、『できるか』じゃねぇんだよ、『やる』1択しかねぇっての!腹くくれや!」 デルフに言われてしまうと、仕方ないなって気分になる。 うん、もうやるしかないんだ。 「う、うんっ!」 「よっしゃ、そんじゃ船の上、目指すぞぉ~!」 「クェーッ!」 はるか上の飛空挺を目指して、両手をグッと構えた。 ピコン ATE ~ビッグブリッヂの死闘~ ラ・ロシェールは岩場に作られた要塞都市。 ゆえに、入る道は限られる。 大軍を擁した船が着陸できるタルブ平原からの街道であれば、1つの道しかあり得ない。 よって、その道程を確保できるかどうか、それがラ・ロシェールの攻防の全てと言っても過言では無い。 「ぐわっ!?」 その道程の一部、ラ・ロシェール近くの滝から注ぐ河川によって削られた谷、 そこにかかる太鼓橋、通称“ビッグブリッジ”において、戦の命運を賭けた戦闘が、行われていた。 「――ちっ、数が多いな」 剣士アニエスはそう呟いた。 艦隊戦にトリステイン軍の意識を集中させ、さらに通常の世界樹からの下船ではなく、 タルブ平原側からの歩兵による襲撃、敵ながらよく考えられた作戦ではある。 それを看過できたのは、剣士としての勘と、ほとんどは運否天賊によるものだ。 アニエスは自らの幸運に感謝した。 とはいえ、ここでの人数差、おおよそ1人に対して300の敵。 これを倒したところで、第二、第三の陣が出てくるだろう。 その点にまで運が作用しないのは、天を恨んでもお門違いではあろうが、恨まずにはいれなかった。 「――ゲヘヘ、姉ちゃん、剣なんておろしてさぁ、仕事終わったら遊ぼうぜ?」 橋を挟んで反対側、一際大きな歩兵が下卑た笑い声を上げる。 かろうじて、橋という地形に救われている。 1度に相手するのは多くても2、3人だ。 しかし、それが長く続くと、流石に息切れもしてくる。 既に橋の欄干に何体もの戦の証が転がっている。 「下郎が。どの口でほざくか」 荒れる呼吸をそのままに、せいぜい強がって見せる。 それしかできないのだ。たった1人、耐えねばなるまい。 貴族同士の潰しあいなら看過できようが、貴族の勝手で平民の命を潰そうとしているのだ。 それを見過ごすなど、炎の記憶を抱いた彼女にできようはずがなかった。 握る剣を、中段に構えなおす。 死んだら、屍で橋を塞いでやる。アニエスは死を覚悟した。 「イキのいい姉ちゃんは好きだぜ~?だが、こっちも300人はいるんだ、大人しくしてた方が――」 一際大きな歩兵が、また粋がった挑発をしようとした、そのときだった。 「――突撃ショコボキック!」 「クェーッ!!」 黄色い影が、下衆の巨体をなぎ倒し、砲弾のごとき勢いで飛んでくる。 「ぐはっ!?」 「な、なんだなんだ!?」 歩兵共が慌てているところを見ると、敵の攻撃では無いようだ。 ――しかし、この間抜けな声に聞き覚えがあるのはどうしてだろうか。 「ア~ンドっ!ギーシュ・ダイナミック・ローリングクラ~ッシュ!!」 「おがっ!?」 「ぐぇっ!?」 黄色い影から、1体の影が分離し、橋のこちら側に着地した。 それは、金髪の、マントを着た間抜け面だった。 「ぎ、ギーシュ・ド・グラモン!ただいま参上っ!!」 「青瓢箪!?」 魔法学院の貧層な体つきの貴族のボンボン、それが影の正体と分かり、アニエスは驚かざるをえなかった。 何故、こんなところにこの嘴黄色い青二才が―― 「おい、メイジだぜ」 「ひるむんじゃねぇ、メイジっつっても鼻たれのガキじゃねぇか」 歩兵共が陣容を整える。糞、とアニエスは小さく呟いた。 折角、相手の背後にいたのだから、もう少し奇襲らしくすればいいものを。 こうも貴族というものは無駄なことしかしないものか。 「何しに来たのだ、貴様は」 苦々しい毒気のこもった声が出る。 「いてて――あぁ、『命を惜しむな、名を惜しめ』というのが家訓でしてね」 なるほど、功を焦った若気の至りか。 無能な働き者は邪魔でしかない。厳しいが、戦場ではそれが現実だ。 「ふん、そんな理由で死にに来たのか?」 子供とはいえ、憎い貴族だ。いざとなれば見捨てる。そういう冷たい目で見る。 「いえ――錬っ金っ!」 薔薇に包まれた。そうアニエスの目には見えた。 花吹雪が消え去ると、そこには、先ほどまでの青瓢箪とは違う姿。 まるで――魔法のようだった。 「ライバルや、愛する人が待ってるんです!生きて帰りますよ!何より――」 中身は、やはり声の震えたヘタレのボンボン。 しかし、鎧甲冑に包まれた顔には、確かに戦士たる誇りがうかがえる。 「何より?」 「世界の女性のために、カッコよくなりたいんですよ、単純にね! だから、守りたいんです、カッコいいから!!」 大馬鹿野郎だ。そうアニエスは判断した。 カッコをつけたいためだけに、ここで戦って、生きて帰ろうとしている。 2対300、圧倒的に不利な状況で、だ。見もせぬ民を守るために。 あぁ、本当に大馬鹿野郎だ。 だが、気持ちいい。貴族にあって、この大馬鹿っぷりは清々しいほど気持ちいい。 「――ふんっ、見上げたバカっぷりだな、ヒヨッ子が」 少しだけ、笑みがこぼれる。 「う、酷くないですか、アニエス先生?」 不平を言う大馬鹿野郎。 あぁ、でも救われた。アニエスは素直にそう思う。 「まぁ良い。師と仰がれたのだ、教えておこう」 2対300、相変わらず不利だが、何とかなる気がしてくる。 「何を、ですか?」 「男なら、誰かのために強くなれ」 深く呼吸をし、眼前の敵を見据える。 「へ?」 「歯を食いしばって、思いっきり守り抜け」 この大馬鹿野郎なら、貴族だが守ってやってもいい。 「倒れても、何度でも立ち上がれ」 これは、自分に言い聞かせる。全く、ちょっとでも諦めそうになったのはどこのどいつだ? 「それだけできれば――カッコ良い英雄のできあがりだ」 貴族も、そう捨てた奴らだけでは無いのかもしれない。アニエスは小さくそう思った。 「――了解ですっ!」 「よし、守るぞ、ラ・ロシェール!」 「はいっ!」 体に、精神に、喝を入れる。死闘は、ここからだ。 「かかれ野郎共っ!」 「クェーッ!」 「おぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉ!!」 怒号響くビッグブリッジ、およそ302人と1羽は、 闘いの奔流に飲み込まれていった。 上に上に行くに従って、ドラゴンに乗った人達の攻撃は激しくなってきた。 「相棒、後ろっ!」 「うわっ!?」 「クェーッ!」 「ヌァッ!?」 ボコが後ろの兵士を蹴り降ろして、そのままさらに高く跳びあがる。 「ボコ、すごいっ!?」 「相棒、前前前っ!?あぁもう、まどろっこしい!ちょい体借りるぜっ!」 「え!?うわっ!?」 「グビェッ!?」 体が、左腕にひっぱられるように動き、前の敵をなぎ切った。 まるで、デルフが勝手にボクの体を動かしたような…… 「魔力吸い取った分、所有者の体を動かせるんだよ、おれっち!」 そんな機能があるんだ。ちょっと便利かもしれない。 とはいえ…… 「……そういうの、もっと早く言ってよ……」 「いや、悪ぃ。最近思い出してよ――だぁ、今度は上っ!」 今度はボクが反応する。 「闇に生まれし精霊の吐息の 凍てつく風の刃に散れ! ブリザド!」 「ドァッ!?」 氷にひるんだドラゴンを足場に、蹴って上に上がれば、そこは飛空挺の翼の上。 後は、この上から攻撃をすれば…… 「うし、あとちょっとぉ!」 「し、下は見ない、下は見ない……」 下を見ると、震えそうなぐらい高いところまで来てしまった。 もう、あと戻りはできない。 「――久しいな、“神の盾”」 上から、声がした。 「クェ?」 「なっ!?」 「おでれーたなこいつは」 左腕が、金属の光沢に変わっていたけど、間違いなく、その姿と声は…… 「――そして、感謝しよう。私に武勲が与えられる機会を与えてくれて」 「わ、ワルドっ!?」 「そしてお恨み申し上げよう。この間の借りをな――」 ギリリと歪む笑顔が醜い迫力で、ボクの目線の高さにまで下がってくる。 「借りはまとめて返してやるよっ!貴様の死でなっ!!!」 ワルドの咆哮が、地面から遠く離れたこの場所で轟いた。 ピコン ATE ~マザリーニ回顧録より~ ――幻想は、いずれ終焉を迎える。 それは幼児ならともかく、我ら大人ならば理解せねばならぬことである。 しかし、我々は幻想に頼っていた。 恒久なる平和を、甘い幻想を信じて疑っていなかった。 その驕りが、我々自身を苦しめていた。 「偵察の飛竜より、連絡途絶えました!」 「残存船、1つ!それも落ちかけです!」 「ラ・ラメー伯を救助!しかし大怪我をおっておられるようで――」 「ド・ポワチエ大将とは連絡がつかんのかーっ!」 「が、ガリア方面からも船見ゆとの報告が――」 「それは誤報だ!それよりもゲルマニアへの急使は――」 「応戦は外交問題に――」 会議場にもたらされる情報は混乱模様をきわめ、真偽を確かめる暇すら無かった。 一方の卓を囲む顔ぶれは、所謂、宗教屋あがりである私から見ても、政治家とは思えぬ体たらくであった。 いわゆる『楽観派』であった大臣達は自らの責任の所在を他者へ押しつけようと周囲を見渡すばかり、 『悲観派』であった数少ない将軍連中も、情報の取捨に手を割かれている状況であった。 あるいは、かつてこの国を治めた前王がおられれば、かような事態にならずとも済んだやもしれない。 しかしながら、それはかなわぬ幻想に過ぎぬことであると、覚悟しなければならなかった。 「――マザリーニ」 「――何でございましょう、アンリエッタ様」 ゲルマニアとの婚姻は、アルビオン新政府に対する政治的意味合いが強かったこととはいえ、 それを逆手に取られた今、叱責を受くるべきは私であった。 全ての責はこのマザリーニが負うべき、その覚悟が無くば政治屋などできるものではない。 「動ける竜兵は?」 「――ラ・ロシェール近辺の情報は混迷しております。今しばらく把握にお時間を――」 「違います!今、このトリスタニアより動ける竜兵です!」 「それならば、常に十機は待機させておりますが?」 政治屋となった時点から、私もまた幻想に囚われていたというのだろうか。 『政治とは理念ではなく、合理性を尊ぶべき』という幻想に。 であったとしても、私は仕えるべきアンリエッタ・ド・トリステインに教えられたのである。 「ならば!直ちに準備をさせなさい!私、自らが参ります!」 「な!?」 婚姻前の姫君が戦場へ。姫自らのその発言が、混乱の中にあった会議室に一石を投じた。 それは常識という名の幻想に浸かっていた政治屋共の肝を見事に冷やすこととなった。 「な、なりませぬ!!婚姻前の大事な御体ですぞ!?」 「民が運命に飲まれていると言いますのに、会議室で騒ぐだけの体のどこが大切なのですか!!」 その語気は、未だ幼い女性のものであったと記憶している。 しかしながら、私は見たのだ。その瞳に、前王のごとき為政者の輝きが宿るのを。 「あの方は、勇気をもって私に『生きていてくれ』とおっしゃった! しかし、このまま卑怯者達の好き勝手にさせて、どう生きていけというのでしょうか!」 彼女の弁は語彙も足りず、未だ人の上に立つに値するほどではないものではあったが、 熱を感じたのである。我々政治屋の合理的に凝り固まった頭脳を溶かす熱を。 「会議室の皆様に問います!このまま会議室で慌てふためくだけの無能として記憶に残るか、 護国と民のために戦う運命を取るか!!」 それは、幻想の終焉であった。 政治家とは、机上の書類を前に議論を交わすだけという、ぬるま湯の幻想の終焉であった。 我々は、姫の青臭くも熱のこもった弁に乗り、直ちにタルブへの派兵を決めた。 しかしながら、これが終演の幕開けであることを、 私を含め、この場にいた全ての者が知ることは無かったのである。 マザリーニ回顧録 第五集『幻想の終焉』 第一章 『終演の幕開け』より抜粋・編集 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2207.html
「……妙だな」 「は? 如何なされましたか?」 副官の問いにも答えず、老士官は眼下の戦況に思いを巡らせる。 大砲を迂回し側面から奇襲しようとした鉄砲隊は敵の妨害を受け、これと交戦中。 敵の規模から見るに、用心の為に配した部隊ではないだろう。 そもそも数で劣っているトリステイン軍が戦力を割く筈がない。 なら、こちらの動きが分かっているとしか考えられない。 しかしアルビオン軍が誇る竜騎士を相手にして、 竜やグリフォンを偵察に回す余裕が彼等にあるとは思えない。 それに艦船にしてもトリステイン艦隊は壊滅状態だ。 他の所から船を引っ張ってくる時間も無い。 だが、起こり得ない事も起きるのが戦争の常だと彼は知っていた。 「念の為、竜騎士隊を周辺の空域の捜索に当たらせろ」 「はっ!」 老士官の指示を受け、副官が靴を鳴らして敬礼を取る。 それを眺めながら、やはり堅苦しい挨拶は慣れないものだなと彼は苦笑いを浮かべた。 「怯むな! 進め!」 塹壕に隠れたモット伯が上げる勇ましい声も砲声に掻き消される。 トリステイン側の砲が沈黙すると、今度はアルビオン軍が一斉に反攻に打って出た。 塹壕諸共に兵士を吹き飛ばす砲撃と、その生き残りを狩りたてる鉄砲隊の突撃は、 見る間に拮抗していた戦況を覆し、その天秤をアルビオン側へと傾けていく。 否、そもそもがこれが本来の戦力差なのだ。 いかに魔法が精神力で発動する力だとしても、 人の意思が傷付いた肉体を奮い立たせようとも、 実際の物量差を埋めるには至らない。 アニエスは悔しげに唇を噛み締めながら剣を抜いた。 銃も大砲も使えないのなら、これで戦うより他にない。 果たして傷付いた脚でどれだけ戦えるのか、 それでも指揮官が戦って見せねば兵士は動かないだろう。 「突撃ィィーー!!」 雄叫びを上げて敵陣に斬りかかるアニエスに、兵士達も剣を手にし後に続く。 一直線に突撃してくる敵軍を前に、アルビオン軍に僅かな動揺が生まれる。 しかし、それは容易く嘲笑に取って代わられた。 まるで鴨撃ちも同然。向こうから出てきてくれるなら好都合。 そう言わんばかりにアニエス達へと銃口が向けられる。 その刹那。砲声が鳴り響く戦場に、犬の遠吠えが響き渡った。 心臓を鷲掴みされたような恐怖がアルビオンの兵士達の間を駆け抜ける。 狙いを定めようとした手は雪山に放り出されたかの如く震え、 眩暈にも似た感覚が彼等の視界を著しく乱す。 平常を失ったまま放たれた弾丸は、アニエス達を避けるかのように彼方に消えた。 慌てて弾を込めなおそうとするも火薬や弾を取りこぼす有様。 戦意は瞬く間に潰え、その悉くがアニエス達の剣の露となって散り逝く。 彼等はアニエス達に負けたのではない、心の奥底に眠る“バオー”の恐怖に負けたのだ。 敵の銃と弾薬を奪い、アニエスは更に攻勢を続ける。 既に彼女は気付いていた。これは彼の声ではない。 ただ命じられるがままに吼えるだけの鳴き声。 そこには胸を締め付けるような悲しみも怒りも感じられない。 恐らく被害が出なければ敵も気付き始めるだろう。 ……その前に可能な限り敵を叩く。 あるかどうかも分からない活路だが彼女はそれに賭けたのだ。 アルビオン軍の地上部隊に混乱が広がっていく。 さながら小石を投げ入れた水面に浮かぶ波紋にも似た光景。 “ニューカッスル城の怪物”が現れたのだと、 口々に悲鳴にも似た声を上げて兵士達の統制は崩壊した。 その場から逃げ出す者、蹲る者、僅かな物音にさえ恐怖を感じる者。 反応こそ様々だが、そこにあるのは純粋な“バオー”への恐怖。 もはやこうなってしまえば歴戦の指揮官だろうと収拾は付けられない。 楔の如く左翼に打ち込まれたアルビオン軍の先鋒が、 亀裂が走ったかのように次々と打ち砕かれていく。 「ワルド子爵! ワルド子爵はどこに居られるか!?」 慌てた様子で船員が『レキシントン』艦内を駆けずり回る。 こんな時だけは異常とも言えるこの艦の図体の大きさが癇に障る。 まだアルビオン軍が優勢にあるとはいえ、余裕ぶっていられる状況ではない。 嘘か誠か“ニューカッスル城の怪物”は一匹で一軍に匹敵するとも言われている。 話半分だとしても、それが脅威である事に違いはない。 そこに兵士たちの恐慌が加わればアルビオン軍とて壊滅しかねない。 だからこそ一刻も早くワルド子爵を探し出し、 “ニューカッスル城の怪物”を仕留めてもらわねば……。 ワルド子爵の姿を彼が見つけたのは『レキシントン』の甲板上だった。 自身の風竜に背を預け、未だに飛び立つ気配さえ見せぬ彼に船員は苛立ちを隠せない。 先程のは臆病風に吹かれたのを誤魔化す為の虚言か。 当の怪物が出たというのに平然としている彼の態度に船員は落胆した。 所詮はトリステインの裏切り者。信用に足るような人物ではなかったという事か。 ギシリと歯を噛み鳴らしながら、彼はワルド子爵に手を伸ばそうとした。 「おい、さっさと出撃しろと……」 見れば、突き出した腕はワルド子爵ではなく地面へと向かっていた。 体勢が崩れるのにも似た違和感に気付いた時には、 彼の半身は肩口から滑り落ちて血溜まりを形成していた。 「黙っていろと言ったはずだがな」 聞き遂げる者もない言葉を口にしながらワルドは再び戦場に意識を傾ける。 この咆哮は決して奴の物ではない。 世界を揺るがせるような奴の恐怖を微塵も感じ取れない。 ならば、これはアルビオン軍を混乱させるだけの偽り。 だが何故そのような手段を取る? 実際に奴を戦線に投入すれば済む話だ。 それとも此処に奴がいないとでも言うのか? 有り得ないとワルドは頭を振った。 あれだけの戦力をトリステインが手放す筈がない。 負けられぬ一戦ならばこそ確実に使ってくる。 ……それに、ここにはルイズがいる。 奴は必ずルイズを守る。 たとえ自分の命がどれほどの危機に晒されようとも、 自身の命を捨てる事さえも厭わない。 その光景を嫌というほど、この目に焼き付けた。 だからこそ奴は必ずここにいると確信できる。 ルイズと奴は忌々しいほどに繋がっている。 それは断ち切れぬ運命にも等しい。 だが、それをここで終焉とする為に彼はここにいる。 自らの手で“バオー”を討ち取る事で…。 高らかに吼え続ける数頭の犬。 その隣を伝令達が吉報を手に駆け抜けていく。 「上手くいきましたな」 「ですが二度、三度とはいかないでしょう」 齎された情報に耳を傾けながらマザリーニとアンリエッタは言葉を交わす。 やはり“彼”の残した爪痕は今もアルビオン兵達の胸に深々と刻まれていた。 ただの犬の鳴き声は数百の砲門に匹敵する戦果を上げていた。 浮き足立つアルビオン軍を叩くのなら今をおいて他にない。 それが分かっている筈なのに右翼の主力は動く気配を見せない。 敵の侵攻を左翼が防ぎ、右翼がその側面を突けばアルビオン地上軍を駆逐できるだろう。 だが彼等は王女の護衛を最優先とし、その場を離れようとはしない。 それが自己弁護じみた物だと理解して、アンリエッタは苛立たしげに呟いた。 「これでは何の為に義勇兵は戦っているのですか! 彼等を見殺しにして…それで勝利だと言い張るのですか!?」 「人は誰かの思うように動かせる物ではありません。 それは王家の威光がどれほどの物であろうと、それは変わりません」 まるで彼等を肯定するかのような言い草に、アンリエッタがキッと視線を向ける。 睨みつけるかのような眼差しを受けてもマザリーニは動じない。 彼女とて子供ではない。人は奇麗事だけでは生きていけない。 アンリエッタの意向を汲み取ったとしても、わざわざ危険に飛び込もうとはしない。 ……何故だろう? 私とルイズ、どこにそれほどの違いがあるのだろうか。 一度として私は王女として生まれた事を恵まれていると感じた事はない。 窮屈で形式にばかり拘り、愛する者に想いを告げる事さえ許されず、 信じられる者など宮廷のどこにも存在しなかった。 誰かが私を讃えようとも心が満たされる事もない。 それに比べてルイズはどれほど恵まれている事か。 魔法が使えない? その程度の事がどうしたというのか。 彼女には命を懸けて戦ってくれる使い魔が、親友達がいる。 命令されたのではなく自分の意思で彼女を守ろうとしてくれる。 時には盾に、時には暖かい温もりとなって彼女を包む。 周りを冷たい城壁に覆われた私には眩しく映る光景。 分かってる。私は……ルイズに嫉妬している。 王女の座なんて欲しくなかった。 私はただ一人の少女として幸せになりたかっただけ。 友人に囲まれて、平凡な日々を当たり前のように過ごしたかった。 そんな些細な願いさえも始祖は聞き届けてはくれなかったのだ。 「どうしたんだ? 連中、急に手を休めて……ティータイムって訳じゃなさそうですがね」 「見当は付くけどね。今の内に脱出しないと次はない」 不思議そうに首を傾げるニコラに、ギーシュが深刻そうな面持ちで答える。 今のは犬の鳴き声だったけど彼のじゃない。 そもそも彼はコルベール先生の所で眠り続けている。 恐らくは姫殿下が用意した策なのだろう。 だが、この混乱もしばらくすれば収まってしまう。 彼がいないと気付かれれば同じ手は二度と通用しない。 弾痕だらけの木に凭れ掛かっていた背を起こし、 ギーシュは錬金した鏡で敵の様子を窺う。 見れば相手の数は五人程度。 不意を打てば勝てない数ではないが、 相手は自分達の位置を完全に把握している。 言うなれば完全にギーシュ達は追い込まれていた。 奇襲にこそ成功したものの一発撃てば三倍の弾丸が返ってくる戦力差に、 落とした皿が割れるかのようにギーシュの率いる別働隊は分断された。 気付けばニコラと二人、本隊から引き離され森の木々を盾にしながら戦っていた。 「囮としてワルキューレを二体出す。 それに銃撃が集中したら続けて僕達も飛び出す。 再装填が終わる前に、連中を片付けるんだ」 「……ヤバイ橋を渡る事になりますぜ」 「橋があるだけまだマシさ」 ギーシュが造花の杖を振るう。 舞い落ちた花弁が地面に吸い込まれ、その場に二体の青銅の戦乙女が出現した。 再びギーシュが杖を振るうとワルキューレは敵の前へと躍り出た。 アルビオン兵の口から漏れた小さな悲鳴を銃声が塗り潰していく。 雨粒のように降り注いだ弾丸が青銅の身体を次々と穿つ。 続いてギーシュ達も遮蔽物から飛び出す。 だが、そこに待っていたのは側面から迫り来る、別のアルビオン兵達だった。 正面にばかり気を配っていたせいか、反応が遅れたギーシュ達に向けられる銃口。 豪雨にも似た弾丸が押し寄せてくる様を想像し、不意にギーシュは瞳を閉じた。 願わくば痛みを感じる間もなく終わってくれる事を願いながら、彼はその瞬間を待った。 しかし、銃声の代わりに響き渡ったのは兵士達の断末魔だった。 咄嗟に目を見開いた彼の前でアルビオン兵達が倒されていく。 彼等に襲い掛かっているのは、手に剣や槍などの雑多な武器を持った平民だった。 その統一性のない服装は、それだけで彼等が軍人ではない事を伝える。 銃を持った兵達も平民達の数の前に容易く押し潰され、次々と槍に貫かれていく。 何が起きたのか分からないまま呆然とする彼等の上を、一隻の船が通り抜けた。 「船影を確認! 現在、船籍の確認中です!」 「バカな! トリステイン艦隊は壊滅した筈だぞ!」 慌てて駆け込む伝令にジョンストンは困惑の声を上げた。 艦隊司令が取り乱すなどあってはならないが、 それも致し方ない事なのかも知れないとボーウッドは思う。 自分達の手で確実に潰した筈の敵が出てきたのだ。 生き残りがいたとは思えないが余所から来たとも思えない。 同時に左翼で敵の増援が出現したという情報が艦橋を揺るがす。 まさかゲルマニア…いや、ガリアやロマリアという可能性も否定できない。 ボーウッドが固唾を呑んで戦況を見守る中、伝令が艦橋に新たな情報を齎した。 「船籍確認できました! トリステイン王国所属……交易船『マリー・ガラント』号です!」 突如、真上に現れた船影にトリステイン軍全体に動揺が走った。 よもや交易船が戦争に参加するなどと判る筈も無い。 あれは一体何処の所属の船だ?と騒ぎ立てる最中、『マリー・ガラント』は旗を掲げた。 だが、それはトリステイン王国の旗ではない。 「伯爵! 敵船が頭上に!」 「落ち着け。あれは確かにアルビオンの旗だが敵ではない」 詰め寄る兵に、モット伯は落ち着いた様子で答えた。 掲げられた紋章は赤地に横たわる三匹の竜。 それが示すのは『神聖アルビオン共和国』ではない。 既に失われた『アルビオン王国』の国旗。 「彼等は……友軍だ」 船に掲げられた旗の意味を余す所なく理解してモット伯は告げた。 「……どうしても行くんですか?」 「ええ。私には最期まで見届ける義務がありますから」 シエスタの問い変えに振り返りもせずコルベールは答えた。 彼が去ってしばらく後、コルベールは再び立ち上がった。 ……成すべき事は判っている。 この世界を愛した彼だからこそ破滅の引き金を引かせる訳にはいかない。 彼の行動を見届け、そして自分の手で幕を引こう。 犯した罪は決して償われる事はない。 人々を焼殺した呪わしい力も失われない。 ……その全てを含めて今の自分なのだ。 だからこそ背負っていこう。 彼がその身に宿した“力”と同じ様に。 過去に縛られるのではなく受け入れていこう。 そして踏み出そう、あの時から止まってしまった時間をもう一度。 「でもここからタルブなんて…」 「いえ、問題ありません」 コルベールが小屋の扉に手を掛けて両側に開く。 それを目にした瞬間、シエスタの両目が大きく見開かれた。 そこにあったのは彼女の実家で眠っていた『竜の羽衣』。 長い時を経て、戦場を駆け抜けた“竜”が目覚めようとしていた…。
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/59.html
「武装神姫×SW2.0」シリーズ(制作:Lyuu氏) nicovideo_mylist エラー ( マイリストURLの取得に失敗しました。正しいURLを入力してください。 ) パーティメンバー PL名 神姫型 キャラ名 種族 性別 生まれ 備考 アニエス 天使型アーンヴァルmk2 アールヴ=フロート 人間 女 傭兵 フロート家の双子の姉 シュトレン 悪魔型ストラーフmk2 ストラ=フロート ナイトメア(人間) 女 趣味人 フロート家の双子の妹 エスティ 犬型ハウリン リン=ハウル ドワーフ 女 練体師 リア 戦乙女型アルトレーネ レナ=アルト エルフ 女 魔術師 ニニアン 火器型ゼルノグラード ゼノン ルーンフォーク 女 軽戦士 マスター (GM) セッション1-0 セッション1-1 セッション1-2 セッション1-3 セッション2-1 セッション2-2 セッション2-3 セッション2-4 セッション3-0 セッション3-1
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7671.html
前ページ次ページ確率世界のヴァリエール トリステイン魔法学院の地下深くに、低く強い発電機の唸りが響く。 「異世界文化研究室」と記されたその扉の奥では、コルベールが狂喜の笑みを浮かべ 「初めての工作キット:水中モーター」と書かれた紙箱を手に取っている。 そしてその隣、「異世界文化研究室・分室」と記された扉の奥で。 「すっごく似合うわ! シエスタ!!」 モンモランシーが喜びの声を上げ、タバサとケティがうんうんと満足げに頷く。 隣室から引かれたケーブルの先にある液晶モニタは大怪球フォーグラーの威容を映し、 その前にはポップなジャケットのDVDソフトがうず高く積まれている。 マンガ、アメコミ、バンドデシネにライトノベルにスラッシュノベル、 翻訳用の辞書辞典に不適切なタイトルの薄い冊子で満たされた本棚に囲まれた部屋の中央。 水兵風の上物と丈の短いスカートを着せられたシエスタは、困惑の笑みを浮かべていた。 その太股には何やら物騒な4本の刃物まで取り付けられている。 「あ、あの、皆様、これは、、、?」 「そうそう、最後の仕上げを忘れてたわ」 モンモランシーが口紅を取り出すと、鼻の稜線を横切る様にシエスタの顔に朱線を引く。 「さ、ここでさっき教えたキメ台詞よ、シエスタ!」 「は、臓物をブチ撒けろぉっ!!」 感嘆の拍手に包まれる中、シエスタは涙目の引きつり笑顔でフリーズするが、 ケティは無邪気にはしゃぎ回り、タバサは無言でインスタントカメラのシャッターを切る。 「良いわシエスタ! すっごく良い! 次はこれに着替えてみて!」 モンモランシーが鼻息荒くさらに露出度の高そうな妙にテカテカした衣装を差し出す。 「キメ台詞はこうよ。 『そうしろとささやくのよ、私のゴーストが』」 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十一話 「枢機卿自らお出ましとはせいの出ることじゃな、鳥の骨」 「やかましいわ老いぼれめ、送ったものに目は通したか?」 午後の学院長室、小さなテーブルを挟みオスマンとマザリーニは椅子に座っている。 ワルドが差し出した紅茶を一口すすると、オスマンはふむう、とため息をつく。 「この戦争、勝ったな」 「やはりか」 その言葉とは裏腹に、二人の顔は晴れない。 「武力が均衡しアルビオンの戦況は膠着。 クロムウェルは神聖アルビオン共和国の初代皇帝への即位を表明、 貴族派の連中は正式に「レコン・キスタ」を名乗りこれを支持、か。 マッチポンプも良いトコじゃが、こりゃあ停戦交渉への前フリじゃろな」 「反乱軍のままでは格好もつかんからな。 しかしそれでも間が悪すぎよう」 「となれば今更「レコン・キスタ」を名乗る理由は一つ、尻尾切りじゃろうて。 あの貴族派連中が潰れればそれで「レコン・キスタ」は消滅、表向きはな。 後ろで糸を引いておった連中はまんまと逃げ切りという事じゃろう」 「やはりおぬしもそう思うか」 マザリーニが腕を組む。 「潜っておった間者達はどうなったんじゃ?」 「深く潜っておったものは、この子爵を除いて全て連絡が途絶えた。 貴族派連中の所に潜っておった者はそのままよ」 「ふん。 顔は立ててやるからこちらも手を引け、という所じゃろうな」 「腹立たしいが、こちらもそれに乗るほか無い。 後ろ盾の消えた貴族派連中を潰して、この戦争は幕よ」 「窮鼠猫の諺もあるぞい」 「分かっておるわ、説教くさいジジイめ。 首尾は上々よ。 のう、子爵」 マザリーニの後ろに立つワルドが会釈をし、小さく微笑む。 「は。 全ては来週、虚無の曜日に」 「ふん、いよいよこのトリステインも戦に加わるというわけか。 ああ、嫌じゃ嫌じゃ。 生臭い連中じゃ」 オスマンがしかめっ面でパタパタと手を扇ぐが、 マザリーニは嫌味を受け流してふてぶてしく笑う。 「ふん、何とでも言え。 このトリステインの国土を戦場にさせぬ為よ」 「物は言い様じゃな、これじゃから戦争好きは、、 ん? そう言えば来週の虚無の曜日といえば、 日食の日ではないか。 何とも不吉な日を」 「確かに不吉よ、貴族派の奴めらにとってな。 そうそう、虚無といえば。 虚無の魔女殿はどうしておられる?」 「息災にしておるぞ。 顔が割れてしまったことも、ミス・ヴァリエールの為には かえって良かったのかも知れん。 今更言うのも何じゃが、裏の世界の泥にまみれるには あの娘はまだ幼な過ぎる。 ここからの汚れ仕事はわしら老いぼれだけで充分よ」 オスマンが目を細め、窓の外に目をやる。 「確かにな」 マザリーニが席を離れ、窓辺に立って光さす中庭を眺める。 「友と過ごす若者の日々は短く儚い。 だからこそ、大切なものよ。 だからこそ、わしらが守らねばならん。 、、、例え、どのような事をしようともな」 遠くを見やるマザリーニの低いつぶやきに、 オスマンとワルドは黙ったままそれに応えた。 。。 ゚○゚ 「はあ? パーティ?」 突然の誘いにルイズは怪訝そうな顔をキュルケに向ける。 「そ、パーティ。 ほら、もう来週から学院も夏休みに入るじゃない? それでさ、タバサ達が張り切っちゃってんのよー。 アンタどうせ任務クビになって今ヒマなんでしょ?」 食堂外に設けられたカフェテラス。 その横の芝生ではフレイムとシュレディンガーが仲良く昼寝をしている。 向かいに座ってコーラを飲んでいるキュルケの話を聞きながら、 ルイズはソーセージが溺れるほどケチャップとマスタードをかけた ホットドッグにかぶりつくと、ソーダフロートでそれを流し込んだ。 添えてあるポテトフライにも救命胴衣が必要な程のケチャップがかけてある。 「クビじゃ無いわよ! 戦況が落ち着いてきたから、任務を一旦停止してるだけよ」 「敵の親玉に顔見られたって話じゃない?」 「あ、あれは不可抗力よ! っていうか、なに堂々と守秘義務違反してんのよ」 「神経質ねー、誰も聞いちゃ居ないわよ」 キュルケはタコヤキを頬張ると、中庭に並ぶパラソル付きのテーブルを見回す。 確かに、あちこちのテーブルで学生達がそれぞれの話題に花を咲かせているが、 誰もみな自分達のおしゃべりに夢中でこちらを気にしている様子は無い。 ルイズはため息を一つ付くと、キュルケが食べている青ノリまみれのソレを睨む。 「、、、何それ」 「これ? 案外イケるわよ、一つどう?」 「、、、パスするわ」 ルイズは自分達の周りのパラソルの中を覗き見る。 向こうではシェイクを飲みながら甘いソースのかかったポップコーンをつまんでいる。 その隣は生の魚介を使ったスシロールだ。 飲み物はペリエの様だが。 シュレディンガーが向こうの世界の食べ物を持ち込んでからというもの、 厨房ではちょっとしたルネッサンスが起こっている。 バリエーションが増えるのは結構だし、テラスでのランチも気持ちの良いものだが、 いかんせん安っぽいメニューが多すぎる。 物珍しいからって仮にも貴族としてそれはどうなのよ、と思いながら ルイズはもう一口ホットドッグをかじった。 「大体人のことクビだのなんだのって。 キュルケなんて何にもやってないじゃない」 「あーら、私はアンタみたいな荒事はやんないの。 出来るエージェントは任務をクールにスマートに、 そしてセクシーにこなすものよ?」 「、、、何よ、最後の「セクシー」って」 「聞きたい?」 自慢げに眉を上げるキュルケに辟易としている所へ、一人の女性が近づいてきた。 「ここに居られたか、ミス・ツェルプストー。 おや、ミス・ヴァリエールもご一緒か」 鎧姿も凛々しい若騎士にルイズは見覚えがあった。 「ああ、貴女は姫殿下の護衛の、えーと、、」 「あらー、アニエスじゃない? 今日はどうしたの?」 彼女に気付いたキュルケが声をかける。 「枢機卿の付き添いでな。 それと、その、、先日の礼を言いたくてな、ミス・ツェルプストー。 貴殿のお陰で憎きリッシュモンをこの手で始末することが出来た。 あれは我が故郷のかたきだった、貴殿には感謝をしてもし切れぬ」 「まあ、アニエス。 哀れなリッシュモン様はあくまで「事故」でお亡くなりになったのよ? 駄目よー? 今から国内で団結しようって時にそんな物騒なこと言っちゃ」 「ああ、そ、そうだったな。 すまぬ」 アニエスがなぜか頬を赤らめキュルケから視線を逸らす。 「しかし、任務の為とはいえ、本当に申し訳ない。 レコン・キスタとの内通の証拠を得る為とはいえ、、 あのような裏切り者と、その、、、」 「ふふ、あなたが謝るような事じゃ無いわ、アニエス。 私が好きでやった事よ」 キュルケがアニエスの手を優しく取る。 「う。 そ、それに、追っ手を巻く為とはいえ、、 その、成り行きとはいえ、、、 私なぞと、ああいう事に、、、」 「あら? 残念だわー、アニエス。 私はてっきり貴女があの夜の続きを しに来てくれたのかと思ってたのに」 「あー。 アンタがさっき言いかけた任務の話だけど、、 聞かなくてもどんなか大体分かったわ、キュルケ」 呆れ顔でルイズが二人を眺める。 その視線に我に返ったアニエスは慌てて襟を正す。 「と、ともかくだ! ミス・ツェルプストー。 貴殿には大きな借りが出来た。 私に出来ることがあれば、何でも良い。 遠慮なく申し出てくれ!」 まだ照れを残しながらも、アニエスが無骨に微笑む。 「んー、それじゃあ、、、」 キュルケがかわいらしく頬に指を当て考え込む。 「パーティがあるんだけど、今晩空いてる?」 。。 ゚○゚ 「こ、、れ、は、、、!」 アニエスは自分のあまりの格好に、羞恥の表情で立ち尽くす。 「まあ! トレビア~ン! と~っても良くお似合いよ、妖精さんったら!」 野太くくねる声が店内に響く。 トリステインの王都トリスタニア。 そのチクトンネ街にある『魅惑の妖精』亭の入り口には 「本日貸し切り」の札がかけてある。 「うん、アリね」 「ギャップ萌えですねー、タバサ姉さま」 すでに着替え済みのモンモランシーとケティが、感心しきりに スポットライトを浴びるステージ上のアニエスを見つめる。 タバサは無心にシャッターを切り続ける。 脂肪どころか余計な筋肉一つ無いそのしなやかで強靭な四肢は なめされ束ねられた革の鞭を思わせ、あちこちに走る古傷は その鍛え上げられた肉体が紛れも無い「実用品」である事を誇示している。 まとっているビスチェはサイズが少々合わなかったのか、 引き締まった腹筋と慎ましやかなおへそを外に晒してしまっている。 アニエスはそれを頑なに両手で隠しているが、過剰に付いたフリルや 頭のカチューシャと相まって、却ってその仕草を可愛らしく見せる。 「ミミミ、ミス・ツェルプストー? ここ、これはさすがに、、」 「駄~目、みんなおそろいの格好してるのに 貴女だけそのまま、な~んて通らないわよ~?」 かぶりつきではしゃぐモンモランシー、ケティ、タバサはもとより、 アニエスに声をかけるキュルケ、そしてルイズとシュレディンガーも それぞれの髪色に合わせた色とりどりのビスチェを身に着けている。 「さ! これで全員着替え終えたかしら? 妖精さんたち、『魅惑の妖精』亭へようこそ~! 今夜は貸し切りだから好きに使っていって頂戴ね! 可愛いシエスタのお友達ですもの、 う~んとサービスしちゃうわ~!」 店長のスカロンが腰をくねらせ満面の笑みで挨拶をする。 その横では娘のジェシカが従妹であるシエスタにサムアップする。 (ナイスよシエスタ! 新規顧客開発でお得意様ゲッツよ!) 「どーせこんなこったろうとは思ったわよ」 どうこう言うのをすでに諦めたルイズは、早くもテーブルについて 一人でワインを開けている。 「いーじゃんルイズ、せっかくなんだしー」 「アンタは良いわよシュレ、こういうカッコ似合うし」 笑顔でフリルのスカートをフリフリさせているシュレディンガーに ふてくされた表情で皮肉を言う。 「そんな事は無いよ、僕の小さなルイズ。 とっても似合っているよ」 背後からの優しい声にルイズが慌てて振り返る。 「ワワワ、ワルド様!? い、い、いらしていたんですか!?」 「学生ばっかってのもなんだし来て頂いたのよー、保護者ってやつね」 モンモランシーが声をかけてよこす。 「おや、迷惑だったかな?」 「めめ、迷惑だなんてそそそんな!! でもでも私、こういう格好ちっとも似合わないし、 胸だってその、、、」 ワルドが優しく笑いかける。 「さっきも言ったろう? ルイズ。 君が一番素敵だよ。 はっはっは。 時に店主、お手洗いはどちらかな?」 ルイズが照れるやらうっとりするやらで自失していると、 突然入り口の戸が叩かれた。 「モンモランシー。 僕だよー。 君のギーシュだよー。 今着いたよー。 開けておくれー」 「あら、もう着いたの? 早かったわね」 モンモランシーがフリフリと入り口へと向かい、外へ呼びかける。 「本当にー? 本当に本物のギーシュなのー? 本物のギーシュならこれができるハズです。 マリー・アントワネットのものまねー」 「誰だよ! 知らないよ!! 冗談はやめて開けておくれよモンモランシー!」 「ノリ悪いわねー、ハイハイ」 扉を開けると、外には衣装ケースを両手に抱えた ギーシュとマリコルヌが立っていた。 「ちょ、何で二人が来てるのよ! ていうかギーシュはまだ判るけど、なんでマリコルヌまで居るのよ!」 「ひどいなあルイズ。 この日の為に用意したコスを持ってきたんじゃないか。 僕だってタバサ達と同じく異世界文化研究会の一員なんだよ? 今日はその発表会なんだから。 って、こ、これは、、、」 中の様子を覗き込むなりマリコルヌは鼻の下を伸ばす。 「ああ、素敵だモンモランシー! ケティもとっても可愛いよ!」 ギーシュも入ってくるなり顔をゆるめる。 「全く、どいつもこいつも、、ちょっとはワルド様を見習いなさいよ! ホラ、賢者の様に悟りきった顔をしてるじゃない」 ルイズはそう言ってすっきりとした顔でカウンターに座るワルドを指差す。 タバサが無言でその表情をカメラに収めた。 「ああー、それがタバサが言ってた例のアレ?」 モンモランシーが衣装ケースをテーブルの上に置き開いてみせる。 「そ。 キュルケ、あなたの分もあるわよ」 「あら、そうなの? 私らはこのフリフリだけじゃ無いの?」 「このビスチェはこのお店の衣装なんですよ、キュルケお姉さま。 せっかくだからスカロンさんに貸してもらっちゃいましたけど、 本番はこちらなんですっ」 ケティが得意げに胸を張る。 「じゃあー、まずはこれからね!」 十数分後。 「私が死んでも替わりはいるもの。」 「ほーっほっほ! アンタバカぁ!?」 出てきたタバサとキュルケはぴったりとしたボディスーツに着替えている。 それぞれ白と赤とを基調とした光沢のあるスーツはボディラインも露わなもので、 特にこの世界では見慣れない透明な生地が使われた赤いキュルケの衣装は やたらと露出度の高い仕上がりになっていた。 「ほらケティも! 3人揃って1セットなんだから!」 「にゃ、にゃ~ん!」 「はっはっは、3人とも可愛らしいね。 時に店主、お手洗いはどちらだったかな?」 さらに十数分後。 「ガンダムにおヒゲはありますか!? ありません!!」 次に現れたモンモランシーはパラソルを持ってつばの広い帽子をかぶり、 白地にブルーのラインの入ったブラウスとスカートを着ていた。 「台詞が逆。」 「キエル・ハイムからキエル・ハイムへ、、、」 さらに十数分後。 「あたいったら最強ね。」 青いリボンを頭に付け、同じく青のワンピースを身にまとったタバサの背中には、 ウィンディ・アイシクルの魔法によって作られた氷の矢がきらめいている。 「な、なんかノリノリね、タバサ、、、」 「⑨。」 「うぇ!? 私の分もあるの!?」 「当ったり前でしょルイズ。 さ、こっちいらっしゃい」 さらに十数分後。 「あ、これ結構可愛いじゃない」 「でしょでしょ!?」 白地のスカートつきレオタードに紫のインナー、それに黒い子悪魔風のシッポ。 丸くて大きな白帽子には、シッポとおそろいの黒い羽根飾りが付いている。 くるりと回るとスカートがひらりと舞い、シッポが可愛らしく揺れる。 「このキャラのキメ台詞は~、」 「あ、やっぱそういうの有るんだ、、、」 「ん? 何か有ったっけ? タバサ」 「特に無い。」 「そう言えば無いですねー、お姉さま。 「リトリトー♪」とかですか?」 「じゃあそれで、ルイズ」 「、、、」 「じゃあ次はシエスタね!」 「モ、モンモランシーさん、私もやっぱりまたやるんですか?」 「当~然! 二着とも持ってきてるわよ~♪」 「わ、そうなの? 見たい見たい!」 「もう、ジェシカまでー」 「それじゃせっかくだしジェシカさんと一着づつね!」 「え? 私もいいんですか!? やったー!」 。。 ゚○゚ 「じゃあー、次は次はー」 ノリノリで衣装ケースを漁るモンモランシーを カウンター席でギーシュがニコニコと見守る。 「いやいや、皆が喜んでくれて嬉しいよ。 小物を作る手伝いをした甲斐があったというものさ」 「へー、ギーシュの錬金で? 再現度高いよ、やるね」 隣の席でマリコルヌが感心する。 「何コソコソ話してんのよソコー、いっやらしーわねー」 ワインで程よく出来上がったルイズがカウンターの二人を指差す。 「い、いやらしくないだろルイズ! 僕はただ純粋にコスプレの完成度を」 「鼻の下伸ばして何言ってんのよ、デブのくせに。 大体あんた達二人だけ、な~んで制服のまんまなのよ」 「い、いやいやルイズ? だってホラ、僕らは衣装もないし」 「あら~、ギーシュ? シュレちゃんだって きちんとドレスアップしてるじゃない。 ねえ?」 「ねー?」 「キュ、キュルケ!?」 「そういえばそれも不公平ねえ」 「モンモランシーまで!」 さっきまでギャラリー気取りだった二人を ビスチェ姿の妖精たちがやんやと囃し立てる。 「そー言う事ならお任せよ!!」 出番とばかりにスカロンが腰をくねらせやってくる。 「いや、店主? 僕らはこういう事は、、」 「あらいやだ、初めてなのね! 怖がる事無いのよー? お姉さんが優しくリードして、あ・げ・る! ジェシカ! シエスタ! いくわよ!!」 そして十数分後。 スポットライトの照らすステージにスカロンが現れる。 「はあーい、お待たせ致しましたー! このお店の新しい妖精さんを紹介しちゃいまーす、 ギーシェちゃんとー、 マリコレーヌちゃんでーす!!」 シエスタとジェシカに手を引かれてステージ上に現れた二人を 皆が拍手と喝采で迎える。 「わ、割とアリね」 「アリ。」 「大アリですねー、お姉さま」 かぶりつきの三人組が目を輝かせる。 「ギ、ギーシェ、です、、、」 覚悟を決め切れずに赤面したギーシュが金髪ロングストレートのウィッグを いつものクセでかき上げる。 男子生徒の中では細身のタイプとはいえ黄色いビスチェから出た広い肩は 大人へと成長する過程の力強さをしっかりと示しており、端正な顔立ちとの アンバランスなギャップが何ともいえぬ危うさを醸し出している。 その倒錯的な魅力にキュルケは自分の中の野獣が頭をもたげるのを感じ、 思わず唇を舐める。 「マ、マリコレーヌでぇす♪」 空色をしたセミロングパーマのウィッグをつけたマリコルヌは、 そのふんわりとした髪とふくよかなボディラインも相まって まるで違和感なく淡いブルーのビスチェを着こなしている。 照れながらも満更でもなさそうなその表情は、恥じらう乙女そのものだ。 とても男性とは思えないそのきめ細やかな肌と豊満な胸に ルイズも思わず息を呑む。 。。 ゚○゚ 「はーい妖精さんたち、クックベリーパイが焼けたわよー」 「スカロンさんありがと! それ私大好き!」 スカロンとジェシカが運んできた焼きたてのパイにルイズがかぶり付く。 「ん~、おいし」 「あ、あふい」 熱々のパイを持て余すシュレディンガーの向こうでは、 ギーシェとマリコレーヌを三人組がいじり倒している。 「なんのかんの言って、来て良かったでしょ?」 「ま、ね」 隣のキュルケに返事をしつつ、伸びを一つする。 「ここんトコ、色々と忙しかったからねー。 あちこち飛び回って、船落っことして、要塞潰して、 シュレと一緒に、いろんな所を見て回って、、、」 ネコ舌を火傷して涙目になりながらもパイをかじる猫耳頭を眺める。 「な~に急にしんみりしちゃってんのよ。 おヒマもらって気が抜けちゃった?」 キュルケが肘でルイズをつつく。 「ふう、そんなんじゃないんだけどさー、、、 もうすぐ夏休みだし、しばらく皆とも会えないんだな、、、って」 「ぷふっ、ルイズらしくないわね~、夏休みなんてあっという間よ。 アンタのバストが10分の1サント膨らむ間も無いって」 キュルケがぺたりとルイズの胸に手を当てる。 「あら? ごめんなさい。 こっち背中だっけ?」 思わず腕で胸を隠し立ち上がる。 「な゛っ!! 誰の胸が背中よ! 膨らんでるっつーの! 日々成長してるっっつーの!! アンタは大体あれよ昔っから! おちちが大きけりゃ偉いってもんじゃ無いでしょ!!」 「偉いか偉くないかは知らないけどぉ~、 貴女みたいなお子ちゃまよりは、女らしくは、あるわよねぇ」 キュルケが自信満々に立ち上がり、ビスチェからこぼれる たわわな果実をルイズの前に見せ付ける。 「アンタのは「女らしい」じゃなくって「はしたない」でしょ、 この淫乱牝牛!!」 「ま、まあまあルイズさん落ち着いて」 「ぬぐっ、ア、アンタも敵よシエスタ! おちちの大きさで女の価値が決まるとでも思ってんの!?」 うっかりなだめに入ったシエスタにも飛び火する。 「ああーん、壁のように立ちはだかる運命に立ち向かう 乙女の姿って、いつ見ても美しいものねえ」 スカロンがうっとりと腰をくねらせる。 「むしろ壁のように立ちはだかった膨らみにこそ 乙女の美しさがあるとは思わないかね? 店主」 「と、特殊な趣味をお持ちなんですね、子爵様」 拳を握り力説するワルドに、ジェシカがあきれ声をかける。 「と、とにかくあんたらおっぱいおばけに 私たちは負けないわ!」 「ちょっとルイズ、何よその「私たち」って。 何さらっと私を貧乳組に入れてんのよ!」 心外だとばかりにガタリとモンモランシーが立ち上がる。 「アンタだって似たようなもんでしょモンモランシー。 どー見たってマリコルヌより小さいじゃない」 「アンタよりマシよ! って、何笑ってんのよマリコレーヌちゃあん!?」 「ぼぼぼ僕は別にあふぅんっ!?」 突然に豊満な胸を鷲掴みにされたマリコルヌが艶っぽい声を上げる。 鷲掴んだタバサは神妙な顔でマリコルヌと自分の胸を揉み比べる。 その横でケティも羨ましげにじりじりと手を伸ばす。 「ママー、やってるー?」 やたら緊迫した空気の中、入口の扉が突然開いて陽気な声がホールに響く。 皆が振り向くと、ほろ酔い顔の二人の男が店内を覗き込んでいる。 「あらー、御免なさい。 今日は貸切なのよ。 男の子達が入って来た時に鍵をかけ忘れちゃったのね」 「ちょっと待って、スカロンさん。 いいえ、ミ・マドモワゼル」 キュルケがにんまりと笑ってスカロンの手を止める。 「ルイズ、女の価値はお乳の大きさじゃ決まらないんでしょう? だったらこの殿方達にどちらが女としての魅力があるか、 公平に決めてもらおうじゃない?」 「はああ゛!? なな、何言ってんのよ」 「あらら、御免なさいな。 やっぱり止めておきましょう、スカロンさん。 こんな結果の見えてる勝負なんて、余りにフェアじゃ無いものね」 「なにが結果が見えてるってのよ! 私がアンタなんかに負けるって言うの!?」 「そうねー、貴女みたいなお子ちゃまや、 衣装を着ただけで満足しちゃってるモンモランシーよりは、、、 ま、自信はあるわね」 モンモランシーがゆっくりと振り返る。 「ほほーう、言うじゃないのキュルケ。 そういうのって、レイヤーとして見逃せる発言じゃあないのよね」 ルイズ、キュルケ、モンモランシー。 仁王立ちのままの3人が、火花を散らして睨みあう。 「良いわ、誰が一番売り上げを上げれるか勝負って事ね。 『魅惑の妖精』亭、開店よ! ミ・マドモワゼル!!」 。。 ゚○゚ 「いらっしゃいませ、ご主人様。」 「いらっしゃーい!」 シエスタのメイド服を着込んだタバサとシュレディンガーが会釈をする。 「いやー、初々しいねえスカロンさん」 タバサにお酌をされている席の男が鼻を伸ばす。 「うふふ、今日の妖精さんはみーんな研修中の新人さんなのよー。 優しくしてあげてねー?」 スカロンが声をかけると忙しげに他のテーブルへ向かう。 「しっかし思ったよりやるねえ、あの娘」 慣れぬ皆のフォローをするジェシカが、思わずタバサに感心する。 「ああいうのが受けるのかしら? 参考にしなきゃ」 「うーん、思わぬ強敵ね」 早々に酔っ払いを殴り飛ばし待機中のルイズがタバサを眺め唸る。 「アンタは論外でしょ」 同じく客に水を引っ掛けベンチ待機のモンモランシーがため息をつく。 「ルイズさん、モンモランシーさん、 ケティさんのテーブルにヘルプお願いしまーす」 両手で器用に料理を運ぶシエスタが二人に声をかける。 「よっし、リベンジよ!」 「逞しいねえお姉ちゃん、普段何やってんの?」 「いや、あの、その、剣術を少々、、、」 何が何やらまだ飲み込めないアニエスがこわばった顔で答える。 (せ、戦場で剣を振っていた方が、どんなに気楽な事か、、、) 隣のキュルケに目で助けを請うが、Sっ気たっぷりの笑顔で拒否される。 「御免なさいね~、この娘ったら殿方との触れ合いに慣れていないんですの」 火照った顔で微笑み、キュルケが客にしだれかかる。 「さ、それよりもう一杯」 「そうねー、頼んじゃおっかな!」 「ぽっちゃりして可愛いねえ君、なんていうの?」 「マ、マリコレーヌでぇす! よろしくね、おじさま」 「あ、お水が無くなってるね。 ぼ、私がお水を取ってきますわ」 席を立とうとするその腕を涙目のマリコルヌに掴まれる。 「何逃げようとしてるのかな? かな? ギーシェちゃあーん」 「今どんな調子かしら~? ジェシカ」 調理場のスカロンがお盆を下げてきたジェシカに尋ねる。 「そうね、やっぱり強いのはキュルケちゃんね。 明日からでもウチに欲しいくらい。 でも2位につけてるのがタバサちゃんってのが意外ね。 あとマリコレーヌちゃんとシュレちゃんが結構来てる。 あの二人、ビジネスチャンスの香りがするわ」 腕を組んだジェシカが不敵に笑う。 「トレビア~ン! 我が娘ながら目ざといわね。 はい、出来あがりよ。 コレ2番テーブルにお願い」 「はいなっ!」 またも客に手を出しベンチ入りのルイズにシエスタが声をかける。 「ルイズさん、いけます? あちらの奥の女性のお客様なんですけど」 「女性~? むー、まあ良いわ。 お客はお客よ!」 シエスタからお冷を受け取ると、奥のテーブルへのっしのっしと向かう。 「い、いらっしゃいませー、お客さまー」 「おお、魔女殿。 久しいの」 どがしゃ。 ルイズが派手にすっ転び、隣のハゲに水をぶちまける。 「あああ、アンタがナンでココに!?」 悠然と椅子に座る白づくめの少女を睨みつける。 「いやなに、しばらくヒマだったからあちこちうろついておったら 何やら覚えのある気配を感じての」 「どーしたのルイぶうっ!?」 駆け寄ったシュレディンガーが思わず噴き出す。 「で、ここでやろうっていうの? アーカード!」 ルイズがストッキングに隠した杖を後ろ手でまさぐる。 「相変わらず物騒じゃの、魔女殿。 私は次に戦場(いくさば)で会う時に、と言うたろ? こんな所で杖を抜こうとは。 やれやれ、ここは戦場ではあるまいに」 アーカードがやれやれと肩をすくめる。 「あ、アンタが言うな!」 怒鳴りつけるルイズを、後ろからの手が押し留める。 「何処の誰かは知らないけれど、それは聞き捨てならないわね。 ここはね、女のプライドをかけた、まごう事なき戦場なのよ!」 モンモランシーが胸を張ってアーカードに言い放つ。 「ほう、そうか、、、 ここは戦場(いくさば)か」 アーカードが小さく笑いながら、ゆっくりと立ち上がる。 「ちょ、バカ! モンモランシー!」 モンモランシーを後ろ手に庇い、隠した杖を抜き放つ。 「それでは、あの時の約束を、、果たさねばならぬのう、、、」 ざわり、とアーカードの長い髪がうごめく。 「みんな、伏せて!!」 叫び身構えるルイズの目の前でアーカードがゆっくりと宙に浮き、 優雅に蠢く髪の毛がまるで繭のように全身を包み込む。 その場の全員が驚きの声と共に宙に浮いたその繭を見つめる。 繭が脈動と共にひび割れ、中から眩い輝きがこぼれ出した。 皆が息を呑み見守る中、その繭がついに割れる。 舞い散る白い羽根と共に現れたアーカードは その身に純白のビスチェをまとっていた。 「はああぁ~~!?」 ルイズが素っ頓狂な声をあげ、店内が喝采の渦に包まれる中、 ふわりとアーカードが舞い降りる。 ルイズの着ているピンクのビスチェとデザイン自体は全く同じだが、 毛皮の帽子はそのままで、床に届きそうなファーを首からかけている。 純白の羽毛が舞い散る中、ファーを巻いた腕をルイズに差し出し うっとりと微笑みかける。 「さあ、戦争の時間だ」 † 「さ、3番テーブルにボトルもう一本はいりまーす!」 「ちょっと、アレ反則でしょ!」 ルイズがジェシカを呼び止めて、でっぷりと太った貴族の横で 足を組んでゆったりと哂うアーカードを指差す。 「さあ、もう一本だ」 「し、しかしね、アーカードちゃん」 「問題ない」 「で、でもねえ」 「なにも 問題は ない」 その指先で貴族の唇をなぞる。 「そうねえ! 問題ないねえ! おーい、アーカードちゃんの為にもう一本追加だ!」 巨体を揺らし、でれでれとした声で貴族が注文を入れる。 「ホラあれ! 絶対エロ光線か何かよ!!」 必死に訴えるルイズの両肩にジェシカが手を置く。 「悲しいけどコレ、戦争なのよね」 きっぱりと言い切ると嬉々とした表情で厨房へ駆けていく。 「ボトルもう一本追加でーす!」 「マズいわ、女云々じゃなくマズいわ。 このままアーカードに負けたら、 何というか、人間として駄目な気がするわ」 ベンチ席で歯噛みするルイズの手にそっと手が重ねられた。 涙目で見上げたルイズの目に、優しい微笑みが映る。 「心配しないで、可愛いルイズ。 この私が居るじゃあないか」 「ワ、ワルド様!」 「さあ、ボトルをもう一本追加だ! 皆、今日は私の奢りだ、存分に飲んでくれ給え!」 沸きあがる歓声に応えながら、隣席を不敵に見下ろしつつワルドは悠然と席に着く。 「ほう、チクトンネの帝王と呼ばれたこのチュレンヌに 喧嘩を売るとは、何とも物を知らぬ田舎騎士が居たものだ」 「ほほう、貴方があのチュレンヌ様でいらっしゃるか。 徴税官の立場を使いタダ酒をあおるのに慣れておいでなのでしょう? 申し訳ないが、このワルドの相手ではありませんな」 「貴殿が鳥の骨の腰ぎんちゃくか! いやいやこれは失敬。 だが、この私を舐めてもらっては、困る」 チュレンヌが手を叩くと、部下がドチャリと金貨袋をテーブルに置く。 「ボトルを追加だ!!」 店内にチュレンヌコールが巻き起こる。 「ワ、ワルド様!?」 「はっはっは、だ大丈夫だよ僕の可愛いいルイズ。 時に店主、ツケは」「利きません」 「どうしたね? もう終わりかね?」 ニヤ付くチュレンヌへ颯爽と向き直ると、 ワルドは自分の袖口のボタンを一つ千切り、テーブルに置く。 「ん? 何のマネ、、、これは!?」 「職務上、旅先で物入りな時の為の非常用に、ね」 ボタンの中央には光り輝く大粒のルビーがはめ込まれている。 「そこの君、これを換金してきてくれまいか? そしてその金で、、、ボトルを追加だ!!」 まさかの返し技に店内が沸き返る。 チクトンネの全ての酔っ払いが集まったかの様な喧騒と歓声の渦の中、 漢たちの魂の絶叫が店内にこだまする。 「もう一本!」 「もう一本!」 「もう一本だ!」 「もう一本じゃ!」 「くっ、もう一本!」 「えーい、もう一本!」 「もう、もう一本だぁ!!」 そして、オーダーストップを告げるスカロンの声が響く時、 明らかに一店舗のストック量を超える膨大な数の空ボトルに囲まれて 真っ白に燃え尽きた二人の男に、惜しみない拍手が送られた。 「ええ゛~~、同点?」 不満げなルイズをよそに、ホクホク顔のスカロンが伝票を読み上げる。 「そ、ピッタリカッチリビタ1エキュー変わらず同じよ。 という事で、この売り上げ勝負の優勝はあ~、 同率一位でルイズちゃんとアーカードちゃ~ん!! とってもとっても、トレビア~~ン!!」 「な、納得いかないわ!」 「ま~ま、もうどうでも良いじゃ無~い」 すっかり出来上がったキュルケがルイズに抱きつく。 「そうよ~、大体アンタ何もしてないじゃない」 モンモランシーも呆れ顔で死屍累々たる店内のザマを見回す。 「魔女殿、中々面白い余興だったぞ。 それではまた会おう」 アーカードはそう言うと帰りを惜しむ酔っ払いたちの拍手の中、 ファーをなびかせてビスチェ姿のまま夜の街へと消えていった。 「アーカード、次は負けないわ、、、」 シリアスな顔で決めるルイズにアニエスがおずおずと声をかける。 「すまぬが、ミス・ヴァリエール。 ずっとあの少女の名前が気になっていたんだが。 もしかして、あれはあの報告書にあった、、、」 「うんそう、『死の河』」 「やっぱり」 得体の知れぬガッカリ感にまみれながら アニエスは心に強く思うのだった。 (、、、早く帰りたい) 。。 ゚○゚ 前ページ次ページ確率世界のヴァリエール
https://w.atwiki.jp/filinion/pages/116.html
第三章 組織・人物録 法王庁内部機関・・・法王庁内部組織の追加・詳細設定 3-1.1 遺失技術管理室 3-1.2 法王庁託院 3-1.3.1 異端審議局十三課 3-1.3.2 十三課課長 ユルゲン・フィッシャー 3-1.4 設定:法王庁派閥闘争 独立組織・・・法王庁と協力・友好・中立関係にある組織 3-2.1.1 錬金術師協会 3-2.1.2 錬金術の歴史 3-2.1.3 ‘時越えの錬金術師 アニエス’ 3-2.2 クリューガー光術協会 敵対組織 3-3.1 ドーヴァリン商会 3-3.2 天国の扉 異端結社・・・PCの敵となる異端組織 3-4.1 パナケアの矢 3-4.2 精霊派交信会 3-4.3 銀の瞳団 3-4.4 青銅の盾
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/991.html
真夏のモテカワフリルビキニ okinawa_bikini_mote_*_0908.swf aq, pr, bl, pk 沖縄 海 浜辺 女子限定 ファッション トップス 280アメG